朝、まず中央駅近くの郵便局に移転して展覧しているはずの市立近代美術館に行く(本館は改装中らしい)。途中、東京駅のモデルとなった中央駅や周辺の建物等を見ながら探すもなかなか分かり辛い。やっと探し当てると、ここも工事中で何かいやな予感がする。
なんと展示は昨日までであとはずっとお休みとのことであった。 

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アムステルダム中央駅

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図書館

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郵便局。市立近代美術館の移転先。

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科学技術センター(通称NEMO)レンゾ・ピアノの設計。

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NEMOを反対側から見たところ。

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しょうがないのでトラムに乗って考古学博物館へ向かう。
ここはアムステルダム大学の付属でガイドブックにも載っていない場所である。
正式名はAllard Pierson Museum Amsterdam。
それほど期待することもなく入ったのだがその充実ぶりに驚いた。
ギリシア、ローマはもとより、エジプト、シリア、キプロス、メソポタミアなど、全体の目配りも素晴らしく、かつこれまで私たちがギリシアやトルコで目にしたこともないような造形もあった。こういう不意打ちはうれしいものだ。
以前にも書いたが、私たちの今回の長旅の予定にシリア、メソポタミアまでは入っていない。なのでその部分も含めたここの展覧会はとてもありがたいことなのだった。

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オリンピアの模型

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キプロス

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キプロス

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次に尋ねたのは聖書博物館。
昨年、院生の李さんと15世紀以降の書物としての聖書史の研究をやったので当然行かずばなるまいと思ったのだった。
ここは19世紀のある修道士が収集した資料をもとに作られた場所であるらしい。
その人のテーマはまずは旧約聖書の成り立ちから始まっているようだ。(なので話はとんでもなく長いことになる)
そしてもう一つのテーマは聖地エルサレムを巡る歴史研究のようであった。
いわゆる十字軍から今日における紛争までそれは繋がっている。
とにかくオランダ語も全くわからないので、内容を理解できたかどうかははなはだ心もとない。
少なくとも私の期待したものとずれてはいたのだが、ユダヤの「トラー」(巻物)の様々なヴァリエーションが見れたことなど、それなりの収穫があった。
全体としては不思議な印象の美術館であった。

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トラー(小型)

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大型

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全てユダヤ語。エルサレム聖域の構造図のようである。


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モバイル型?

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古代イスラエル、ユダ王国の首都、エルサレムの神殿模型らしい。

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聖地エルサレム模型。

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そして写真美術館。
3人のフォトグラファーの個展がそれぞれの空間で行われていた。
そのうちの一人は石内都であった。

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またギャラリーに置かれている本をぱらぱらめくっていた妻が「あー。この写真いいね。」というので僕も「うん。」といって名前を見るとなんと知り合いの(ムサビ卒)まーさんこと山本昌男さんの写真であった。このギャラリーで展覧会をした時のものだった。
最近は年賀状のやりとりくらいしかしていないし、日本よりも海外で有名らしいという話は聞いていたが...。

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その後雨模様の中アムステルダム運河のクルーズ船に乗る。

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マヘレのハネ橋。

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宿から見える風景。この日も雨模様。
良くも悪くも大変な一日であった。

まずオランダ最大の美術館「国立美術館」に行く。ここは長期改装中なので現在全てを見ることはできないが、いわゆるめぼしい物を絞って展示している。
レンブラントの「夜警」「若き日の自画像」「聖パウロに扮した自画像」、フェルメールの「台所女中」「手紙を読む女」の他ファルケルト、オランダ伝統の風景画と静物画の傑作が目白押しである。デルフト焼、ドールズハウスもまた充実している。
写真撮影は不可なのでここにあるものはイメージである。

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次に国立ゴッホ美術館へ。
ゴッホの重要な作品はもとよりゴーギャン等同時代の作家の作品も見れる。
また今回僕にとって大変興味深かったのは一般には知られてないがなんとここでニコラス・ウエルクマンの特別展が行われていたことだ。あの「ネクストコール」の。彼はナチスに抵抗して地下出版を行ったが1945年捕われて死亡している。しかもこの展覧会はアムステルダム市立美術館の館長をながく勤め、「ヌー」や「エクスペリメンタ・ティポグラフィ」の編集とデザインも行っていたサンドベルフの解説付きであった。
これはとんでもなく感動ものであった。(...この間の事情は「エル・リシツキー」に書かれているが、その事情を良く知る図書館の本庄さんには少なくとも理解してもらえると思います)
しかもここではそれで終わりではなく、なんとマレーヴィチの小規模ではあるがスペシャルな展覧を行っていたのだ。タブローは10点前後、しかし初期から後期まで重要な物がちゃんと並べられている。これは本当に凄いことである。かつて「白の中の白」をサンクトペテルブルグで見たが「マレーヴィチは単体でみるだけじゃだめで、この流れでちゃんと見なければいけませんよ」といった展示であった。
多くの人のマレーヴィチ観をひっくり返す程の展示だと思う。
ここも撮影禁止なので画像がないのは残念だけど。

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ウエルクマン

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ゴッホ美術館外観。設計はリートフェルト1973年

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ゴッホ美術館新館。設計は黒川紀章、現在は改装中のようであった。

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ものを見すぎて興奮しすぎたせいかどうか知らないがこの後、僕の(失明している)左目が痛くなりどうしようもなくなった。
これは3年程前から始まったものでいくつか病院には行ったが原因は不明である。
根本的な治療方法もない。
この長旅の間は、以前に比べて幾分よくなっているのだが、時々忘れた頃に痛みが突然やってくる。そうなってしまうと目を開けていられない。

一時のあいだ休息し次に美術館に行くのは止めて、妻と相談の上、レンブラントの家博物館に行く。(結局似たようなものだが)

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レンブラントの家美術館。レンブラントが33歳の絶頂期から53歳、破産して売り渡すまで20年住んでいた家。

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玄関脇の部屋。ニュルンベルクのデューラーハウスと同様、飾られた絵はクライアントへのプレゼンテーション用である。

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銅版画の製版作業場と刷り室。

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モチーフ室。興味深いが多分にオリジナルの配置ではなく、後の学芸員が置いたものであろう...。
何故ならレンブラントならばこんなださい置き方はしないように思う。僕の勝手な推測ですが。

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最上階、アトリエの片隅。

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絵の具制作台。

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レンブラントは巨匠と呼ばれるにふさわしい人ですね。何という線の柔らかさ、自在さであろう。

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今日で僕の長旅の半分が終わった。
長かったのか短かったのか、自分でもよくわからない。
今はインプットが多すぎてカオス状態である。

雨模様の中デン・ハーグからアムステルダムへ移動。
宿に荷物を置いてアムステルダム歴史博物館へ。
13世紀から今日までアムステルダムの歴史がしっかり「物」で展示されている。
オランダの歴史といってもよいと思う。同じヨーロッパでもドイツよりも先進国であったオランダ独特の展開がはっきりと見れる。海に開かれていた点が決定的に異なるのだろうと感じた。
建物は17世紀孤児院だったところでベギン会修道院(女子修道院)と繋がっている。

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アムステルダムの歴史の始まった所、ダム広場。王宮。

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以下歴史博物館

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レンブラントだけではなく当時大量の「解剖画」が描かれていたことを知る。

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ダムの精巧な模型。まるで彫刻作品の様である。

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20世紀ドイツの侵攻。

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ノイラートのアイソタイプ運動にウイーンで協力したペーター・アルマのタブロー発見。とても珍しい。

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屋根裏のレジスタンスの部屋も再現。

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雨の合間の光。雲の形がドラマティックに変化する。

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この日はマウリッツハウス美術館を見て(写真禁止なので画像はない)エッシャー美術館そしてそして市立美術館に行った。
連日こういう日が続くと本当に旅はつらい。
マウリッツではフェルメールの名作2点、「真珠の首飾りの少女」「デルフトの眺望」、レンブラント「テュルプ博士の解剖学講義」、ファン・アイク、ホルバインその他沢山。そしてエッシャー。市立美術館ではまとめてモンドリアンという有様である。
何が辛いかというとあまりにも見る対象が凄すぎてヘヴィーなのだ。旅の途中なのでゆっくり消化してなどと言っている暇はない。凄いものが次から次へ視覚に飛び込んで来るのだ。
簡単にいえば気が狂いそうになります。
精神状態はかなり苦しい。


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エッシャー美術館
写真はあまり撮らなかったが初期の作品も含めて素晴らしい。彼の作品はそもそもその内容に見るものを誘い、技術的なことは気にかからないのだが、今回見て木版、木版のエングレーヴィング、リトグラフ、銅版と全てにおいて超絶技巧と言っても良いくらい精度が高いことを実感した。特に若い頃、旅をした風景シリーズなどはあまり見る機会もない。ブレがなく一貫していてすばらしい。

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美術館照明器具

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エッシャーとマグリット。
今回の旅でこの二人の仕事には改めて深い感銘を覚える。
視覚の哲学の視覚による探求をやり方は異なるとはいえこの二人程徹底した作家はそうは見当たらない。
二人に共通するのは周りや時代の流行に惑わされることなく徹底して続けた(恐らくは)孤独な作業である。
画集からは伝わりにくいその息づかいが聞こえるようだ。

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エッシャー美術館の前。

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市立美術館にて。

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以下モンドリアン。これまた強烈でした。フェルメールと同じように光の探求から全てが始まっているのがよく分かる。

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とても良い会場です。雨のせいか人はほとんどいません。

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美術館内部。1935年の建築

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ゴッホ

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アルプ

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ファン・デル・レック

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美術館外観

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夕方美術館を閉め出されたのでトラムに乗って20分ほどで行けるデルフトへ。
妻と地図を見ながらあのフェルメールが描いたと思われる場所を自力で探すことに。

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多分このあたり。私たちが立っている場所の後ろにある建物の屋上あたりからこの画面の左方向にあたる。...と思われる。

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デルフト新教会。1331年建造。

ブリュッセルを朝早く出て、ロッテルダムへ向かう。
この旅の後半はスケジュールをちゃんとたててないのでここに至って
「あれロッテルダムには泊まらなかったんだっけ」ということになり、妻から私の計画性のなさを責められつつ旅は続く。
結局ロッテルダムはこの日のみなのでハードな一日となった(いつものことだが)。
夕方、デン・ハーグにたどりつく。

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ブリュッセルの宿の近く。フォロンの彫刻。

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ロッテルダム、カフェ・デ・ユニ。J.J.P.アウトの設計。デ・スティルを代表する建物。

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このサインを見て何事か!と思ったのですが単なる中古レコード屋でした。

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オランダ建築博物館(通称NAI)ノイラート展でお世話になったパスカルさんのいる所。
ふたつ展覧会をやっていた。オランダの環境と建築に関するもの。(渋すぎて写真はとらなかった)広場と人間に関する写真展であった。

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図書館見学。このNAIの建物は一見かっこ良くできているが、この図書館を見てこれはだめだと思った(建築家はヨー・クーネンという人らしい)。なぜならば図書館の一部がまるでサンデッキのようにさんさんと太陽が降り注ぐのだ。これじゃ本の墓場だ。実際書架の本の背は皆焼けていた。
ムサビの新しい図書館もこんなことにならなければ良いが...。

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ここも図書館の一部

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NAIは敷地の一部に近代デザインの建築を移築し保存修復している。そのうちの一棟は内部見学ができた。ブリングマンとヴァン・デル・ブリュートのゾーネンフェルド邸。

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これはまた別の移築物。まだ作業中らしく内部には入れなかった。

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近くのボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館へ。
ヤン・ファン・アイク

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ブリューゲル

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ボッシュ
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ダリ

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マン・レイのタブローが2点もあった!

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イヴ・タンギー

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デルボー

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マグリット

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河原温もあり...

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現代美術も結構充実している

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草間弥生のかなり大規模な展覧会もやっていた。

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また工芸、デザインも相当に...。

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デザインの20世紀をたどる展示。

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ファン・デル・レック

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ツワルトのパッケージデザイン

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ブリジット・ライリー

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作者名失念。回転します。

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広い公園に面したカフェ

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ユニークかつ機能的なデザインのクローク

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図書館、資料室。貴重書のこの収納デザインは素晴らしい。
この美術館は展示物、展示形態、建築、視覚デザイン全ての面においてハイグレードであった。ただグラフィック・デザインの展示が少なかったのは何故だろう。少し気にかかった。

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レム・コールハースのクンスト・ハル

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エラスムス・ブリッジ ファン・ベルケル&ボス設計。向こうに見えるのがレンゾ・ピアノのKPNタワー

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レストラン・ボンピュ。メカノー設計。

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ブラーク/オールド・ハーバー開発計画。正六面体の集合住宅がどんなものか見たくてやって来た。

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設計はピエト・ブロム。
視覚的にはかなりいらいらさせられます。


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宿はブリュッセル北駅の近く。周りは官庁オフィス街でこんな感じ。

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トラムに乗ってマグリット美術館へ。看板も小さななんてことない住宅。探していたら近所のお兄さんが教えてくれた。「ルネはまだ眠っているかも」とジョークを言われた。
ここにマグリットは結婚後死ぬまで住んだ。シュルレアリズムの巨匠にしては驚く程質素である。絵画作品の展示はすくないものの、とても感銘深いものがあった。彼の絵に出て来る室内モチーフはすべてここに実在するものだ。

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あのマントルピースである。

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小さなアトリエ

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あの帽子

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絵が売れない時代マグリットはかなり長い間広告の仕事をしていた。(特に有名なのは鳩が空になっているサヴェナ航空の仕事)庭の奥にあるのが弟(音楽家)や仲間とやっていたデザインスタジオ。

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その後オルタ美術館周辺の建築めぐりへ。
ここは名前不明だがたまたま道を聞いた女性が僕の建築ガイドブックを見てこれが載ってないのはおかしいと言った建物。「労働者のパレス」と言ったような気がするが定かではない。場所はサン・ジル。
一応中にも入って写真をとった。

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道すがらのアール・ヌーボー(作者知らず)

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これも道すがら。名前はプリズン・サン・ジル。正真正銘の監獄である。だから中には入れない。

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アントワーヌ・ポンペ設計 ファン・ネック博士の診療所


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今はダンス、音楽スクール


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途中寄り道。

以前ここにも書いたが大学時代からの友人、菅谷君と奥さんのあやさん(ふたりともムサビの同期であやさんはグラフィック・デザイナー)が何かあった時のためにとブリュッセルの知人の連絡先を紹介してくれていた。

今回の荷物紛失事件で図らずもそのUさんと電話で話すことになった(電話が繋がった時には事件は解決していたのだが)。その折、カメラマンである旦那さんが今、展覧会をやっていると伺ったのでこれも何かの縁と思い尋ねることに。オルタ美術館の近くである。かなり大きなギャラリー。写真とハイヴジョン映像によるアフガンのドキュメンタリーで内容は大変ハード、質の高い作品群であった。


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ヴェルデ設計 オトレ邸


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ポール・アンカール設計 シャンベルラーニ邸


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アルベルト・ロー設計 メゾン・ペルソネル 


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オルタ設計 ホテル・タッセル


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道すがら。


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旧オルタ自邸 オルタ美術館


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外部に比べて内部は圧倒的な迫力がある。この時代にのみ奇跡的に実現したと思わせるような。

撮影は不可だったので以下はイメージである。


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ホテル・ソルベ


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その後、かなり離れているのでトラムに乗ってヨーゼフ・ホフマン設計 ストックレー邸へ。


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夕方、トラムで旧市街に戻る。証券取引所。


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アール・ヌーボーの意匠を残すカフェ・ファルスタッフで夕食


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最後にグラン・プラスへ。

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朝から王立美術館とベルギー・バンド・デシネ・センター(ガイドブックでは漫画博物館となっているが少し違和感がある)を尋ねる。

王立美術館は15世紀から18世紀にかけてのフランドル派絵画の宝庫であり、また19世紀末から20世紀前半にかけてのコレクションもすばらしい。

オランダの静物画、ルーベンス、ダヴィッド「マラーの死」、ボッシュ、ブリューゲル「イカロスの墜落」、クラナッハ、メムリンク、ゴーギャン、スーラ、クノップフ、カルダー、アンソール、マグリット、デルボー、キリコ、エルンスト等等。美術館全体の雰囲気も大変ゴージャス?な感じである。


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ベルギー・バンド・デシネ・センターはその建築がアール・ヌーボーの巨匠、ヴィクト

ール・オルタによるものである。(元はデパート)

フランス語に翻訳された日本の漫画も見ることができる。


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タンタン


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タンタンの登場人物相関図


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この後、昨日荷物が届かなかったので最悪の場合(当分届かないか、紛失)を覚悟し、必要最低限の衣類などを買いに行くことにする。(着るものがほとんどないのだ)

はじめはガイドブックにあるデパートに行ったのだが靴下が一つで2500円くらいするので、「ふざけるな」と思い町を歩いて勘で探すことに。ベルギーのユニクロのようなところを探して(ユニクロよりも4倍くらい高いが)を見つけてなんとか購入。

でホテルに戻ると

なんと!荷物が戻って来ていた。

買い物は無駄となった。まあ得てしてこういう間が悪い時はこんなもんだよねと妻とため息。

後で電話で話をしたベルギー在住の方に話を聞くとベルギー空港は一日で100個荷物がなくなっているとのこと。

シンジラレナイ。

それで今回アリタリア航空倒産ショック(イタリアの国営にもかかわらず!)の混乱もあるのではないかとのこと。

2日で荷物が戻って来た僕らは幸運だったということらしい。

いや、本当に「やれやれ」ですわ。

荷物がなくなったからといって旅を中断するわけにはいかない。

しかし今後の最悪の場合を想定して日程を若干変更。

予定よりも一日早く、今日はゲントに行くことにした。


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バーフ大聖堂


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東フランドルの中心地、ゲントはブリュッセルの西にありICで40分の距離である。

訪問の目的はバーフ大聖堂にあるヤン・ファン・アイク作「ゲント祭壇画」通称「神秘の仔羊」を見ることにある。これは油絵の具による絵画史上最高の部類に入ることはまちがいない。これはヤンの兄、フーベルトとの共作であるがフーベルトは謎の人物でほとんど知られていない。ヤンには他にも傑作が残されているがフーベルトはこの一点のみである。

今日一日この絵一点だけだとしても充分以上だと思える程の傑作であった。

聖バーフ教会も建築、装飾、空間ともにかなり素晴らしい。

地下にある博物館も想像以上に充実していた。


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写真は当然撮れないのでこれはイメージです。


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その後繊維ホールにある鐘楼に昇る。


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鐘楼の巨大なオルゴール。


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町の中心を流れるレイエ川にそって、中世からギルドによって栄えた町並み、市場を見、フランドル伯居城まで歩く。


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大肉市場内部


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フランドル伯居城


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ゲントのデザインミュージアムを偶然見つけたが時間がなく入れなかった。


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その後駅に歩いて戻る途中、1936年に建てられたアンリ・ヴァン・デ・ヴェルデのゲント大学図書館を見る。正面に見えるのが図書館の高層部。


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最後は駅の近くにあるゲント美術館へ。

この美術館も展示空間、展示物ともに豊かである。

ボッシュ、アンソール、クノップフ、マグリットなどを見る。

しかし特筆すべきは特別展で何とピラネージの大展覧会をやっていたことだった。

まるで長旅をする私の為に用意されたような展覧会であった。ローマを巡りながらずっと「帰国したらピラネージをちゃんと見なきゃ」と密かに思い続けていたのだ。

ここでも何度か書いたがローマ人がローマに気づいた最初の人々の中に確実にピラネージはいたのだ。

これだけまとまったオリジナル(といっても大半は銅版画であるけれど)ピラネージを見ることはもうないのではないかと思う。


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ピラネージ


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「神秘の仔羊」といい、ピラネージといい至福の一日となった。


しかしこの日、失われた荷物は届けられなかった。


午前中、ぎりぎりまで宿でブログの更新をした後、フィウミチーノ空港に向かう。

3時発の飛行機でベルギーのブリュッセルへ。約2時間の飛行である。


空港で大トラブルが発生。

なんと預けた二つの荷物のうちの一つが出てこない。これで空港に1時間以上足止めをくらう。

「多分、ローマで荷物が飛行機にちゃんと載せられていないのだろう、遅れて到着したらホテルまで運ぶから明日まで待て」という説明なので一応、明日を待つことにする。

そのバッグの中身はほとんどが衣類で、本当の貴重品は入ってなかったのは不幸中の幸いであった。

ブリュッセルはさすがに寒くしかも小糠雨である。

ホテルにチェックインした後、もう7時半になっていたが、とにかく元気を出してグラン・プラスまで散策し途中夕食をとる。

明日、荷物がちゃんと届くことを祈ろう。


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フィウミチーノ空港


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雨でしかも肌寒く、傷心のブリュッセル第一日目となった。


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グラン・プラス


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この街も24年ぶりである。

午前中フィウミチーノ空港まで帰国する息子を送る。
約23日間、一緒に旅したのだがあっという間であった。
普通ならば親子でこんな長旅をすることはありえないことだ。おそらく一生に一度であろう、こういった機会が与えられたことに改めて深く感謝している。

一緒にいる間は別にどうということもないのだが、いなくなると急に寂しくなるものですね。


午後からはローマから東30kmのところにあるティボリという街へ行く。

ここは山の上にできた古い街である。


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ティボリからの眺め。


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ティボリの街よりもはるか昔、ふもとにヴィラ・アドリーナというローマ皇帝ハドリアヌスの別荘が作られた。今回はそこが目的地である。

ハドリアヌスはローマがまだ質実剛健だった時代の皇帝であり、ローマがもっとも広大に世界を支配した時代の人である。戦争と領土視察に明け暮れた人だが、とても広大な敷地にかつて自分が見た建築や景観(ギリシアやエジプトなど)を再現しようとこの別荘の建築を始めている。


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復元模型


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哲学者の間、読書室だったらしい。


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島のヴイラ(海の劇場)


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彩色回廊。ここは柱廊に囲まれていた。


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右上側が彩色回廊


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小浴場


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大浴場


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博物館


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カノプスと呼ばれる池と神殿


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ニンフェウム(セラーピスの神殿)


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倉庫、商店、兵舎


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大浴場内側


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養殖池と消防士の宿舎


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ドーリス式付柱の門


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皇帝の宮殿からティボリの丘を見る。


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皇帝専用図書館。この他にギリシア語図書館、ラテン語図書館が別にある。


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皇帝の食堂


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皇帝のテラスからの眺め。


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